生ハムはなんの肉を加工したもの?種類や部位の違いはあるの⁈

サラダの具材やお酒のつまみ、急なおもてなしの一品にと、サッと使えて冷蔵庫にあると何かと便利な“生ハム”。なにかしらの加工肉であることは、なんとなくわかりますよね。さて、なんの肉なのでしょう。

スーパーで売られている“生ハム”というと、主に豚肉が原材料となっています。その原材料である豚肉の部位の中でも、モモ肉あるいはロース肉が使われているものを、私たちは一般的に“生ハム”と呼んでいます。


実はこれ、あくまでも日本における認識であり、生ハムの本場イタリアなどでは「ハム」に対する認識が少し違うくくりになっています。知っていましたか?

ここでは、そんな生ハムの歴史や種類についてふれていきます。



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生ハムの歴史

*生ハムの起源

生ハムの起源は、紀元前にまでさかのぼります。

歴史資料によると、紀元前3500年頃には、現在のイラク周辺やエジプト地域で食べられていたことや、紀元前4800年頃の中国でも保存食として生ハムが活用されていたことが記されているのです。また、古代ローマ時代においては、当時のローマ帝国に生ハム職人がおり、高度な生ハム生産レシピが存在していたという記録が残され、今に伝えられてきたとのことです。

*日本における生ハムの浸透

対照的に、日本における生ハムの歴史は浅く、幕末にオランダから持ち込まれたのが始まりと言われています。その後1917年以降に、生ハムの作り方が伝承されたのです。

そこから先、第二次世界大戦後(1945年~)になり、ようやく“生ハム”が一般的に認知されるようになったとされています。その後、1996年にようやくパルマ産の生ハムの輸入が解禁となり、日本でも本場の生ハムを食べられるようになったという訳です。


生ハムの認識の違い

日本で「ハム」というと、主に豚のモモ肉を原材料として作られた加工肉のことをさします。その「ハム」の中でも加熱せずに作られたものを、「生ハム」と呼ぶことが通例です。対して本場イタリアでは、加熱して作ったハム・加熱せずに作ったハムの両方を、部位に関係なく総称して「ハム」と呼称されています。

日本語でいう「ハム」を、イタリア語では「サルメ」といいます。日本で言うところの「生ハム」は、この「サルメ」の中のひとつにあたるという訳です。



生ハムの分類

元々生ハムは、大きく2種類に分類されます。「原木タイプ」と「原木タイプ以外」です。

*原木タイプ

【骨が付いたままの豚モモ肉を長期乾燥・発酵熟成】させて作られたハム。イタリアやスペイン産の多くはこのタイプの「生ハム」です。原木タイプの生ハムは、“白カビ”で腐食を防ぎながら、1~2年間、あるいはそれ以上の期間をかけて熟成させることで完成品となります。

このような製法は、その土地の気候・風土が可能にしているのです。

原材料が丸ままの豚モモの部位なので、日本人にとってはかなりインパクトが大きいと思います。実際に、日本ではあまり見かけないかもしれませんね。ガラッと吊るされている光景を目にしたら、きっと“ぇ?これ、なんの肉⁈”ってなると思います(笑)

*原木タイプ以外

対して、ドイツ・日本産の「生ハム」は、“骨が付いていない豚塊肉を”【塩漬け⇒乾燥⇒燻煙】、あるいは、【塩漬け⇒乾燥熟成】の工程で作るものをさします。この「生ハム」は、原木タイプに比べて小さめサイズです。

日本のスーパーでよく見かけるのはこちらのタイプ。日本で馴染みのある、いわゆる「生ハム」と呼ばれているものです。



生ハムの種類

前述では、「生ハム」は大きく2種類に分類されるとお話ししました。その中でもまた、産地などによって大きく数種類に分けられます。

*原木タイプに分類されるハム

1) イタリア産「プロシュート」
イタリアの生ハムというとこの「プロシュート」が有名です。プロシュートはやわらかく、口当たりがよいのが特徴。

製法の特徴はというと、“豚肉の皮をつけたまま塩漬け”していること。皮が付いた状態で作る為、どちらかというと塩気がやさしめです。

2)スペイン産「ハモン」
スペインの生ハムはなんの肉か。原材料が白豚である「ハモン・セラーノ」、原材料が黒豚(イベリア種)である「ハモン・イベリコ」が特に有名です。

“豚肉の皮をとって塩漬け”する製法が特徴です。イタリアの「プロシュート」に比べて塩気が強いことも特徴のひとつと言えます。

3) 中国産「金華(きんか)ハム」
「金華ハム」と聞くと、“中国のヤツ“・”高級なヤツ“というくらいは頭に浮かんでくるでしょうか。

「金華ハム」はなんの肉を使うのか。

名前の通り、中国の金華地区が原産である豚「両烏豚」という種類の豚の肉を使用して作る大変貴重なハムです。

見た目はイタリア・スペイン産の生ハムに似ており、赤っぽい色合いの加工肉です。

スープや炒飯などに使われるように、加熱して食べるのが一般的であります。ヨーロッパ組の加工肉と違う点なので、「金華ハム」の特徴と言えるでしょう。

★豆知識★
イタリア・パルマ産の「プロシュート・デ・パルマ」、スペイン産の「ハモン・セラーノ」、中国・金華地区産の「金華ハム」は、世界3大ハムと言われ、高く評価されています。



*原木タイプ以外に分類されるハム

1)ドイツ産「ラックスシンケン」
豚肉のモモ・ロースなどの部位を使用します。加熱せずに作る製法なので、食感がしっとりとしていてやわらかいという特徴をもっています。

ちなみにドイツ語はで、“ラックス”=【鮭】、“シンケン“=【ハム】という意味になります。このことから、”鮭のような赤色をしたハム”という意味の名前であり、日本では「ラックスハム」と呼ばれています。

2)イタリア産「パンチェッタ」
同じイタリア産でも、豚のバラ肉を使用したものをさします。製法は【塩漬け⇒乾燥】で、「プロシュート」と比べて短い期間(一ヶ月程度~)で完成となる。この「パンチェッタ」は、よくパスタなどに使われます。

ちなみに、【塩漬け⇒乾燥】の後に、【燻製】して仕上げたものを、私達は「ベーコン」と呼んでいます。

★豆知識★
「パンチェッタ」は、ご家庭で“手作り“できます。ネットで、「パンチェッタ 自家製」で検索すると、レシピがずらっと出てきますよ。

※自家製パンチェッタは、作る工程・保存において取り扱いがデリケートです。挑戦される際には、十分ご注意くださいね。



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生ハムって何の肉?【まとめ】

・「生ハム」は“なんの肉か”⇒豚肉が主な原材料。
・「生ハム」に対する認識は、日本と海外で違いがある。
・豚のモモ肉を原材料とする“原木タイプ”と、別の部位を原材料とする“原木以外のタイプ”に分かれる。

いくつか代表的な「生ハム」をご紹介しましたが、他にもたくさんあります。そちらについては、今回割愛させていただきます。

こうして生ハムの加工法を知ると、私たちの認識にある「ハム」より「生ハム」の方が高価であることが改めてわかりますよね。

職人さんが長い時間をついやして作られる「最上級の生ハム」、一度は食べてみたいものです。

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